ハマナスの実にのるトウキョウトガリネズミ

ハマナスの実に乗る、トウキョウトガリネズミ

 今年のトウキョウトガリネズミの展示用の飼育ケースには、流木を追加しました。トウキョウトガリネズミは、流木の割れ目が好きらしく、その中に入ってじ~っとしていたり、餌のミルワームを挟み込んだりしています。

 今年の調査で、トウキョウトガリネズミが、トゲのあるハマナスを、トゲの無い植物と同じように上り下りし、休息場所として想像以上に利用していることが判りました。トウキョウトガリネズミにとっては、ハマナスのトゲは小さな枝見たいなもののようです。また、ハマナスの実は食べませんが、ハマナスの実の上には乗ったりします。

 ハマナスの実に乗っているというのは、中くらいのプチトマトにトウキョウトガリネズミを乗せている感じです。

 展示前に、展示用の飼育ケースにハマナスを入れて馴らしていましたが、掃除の時にトゲが刺さり、作業がしにくいことが判ったので昨年と同様の草本にしました。トガリネズミの世話は、北大生の方々にボランティアで行ってもらっています。その方々に、痛い目に遭わせるのは申し分けないので・・・。特に油断している時に刺さると、余計に結構痛いです(>_<)

 

 

今日からトガリネズミ展開始されました。

 今日から北大博物館で、トガリネズミ展が開始されました。私は、昨日の展示最終準備に参加できなかったので、本日昼休みを利用して見に行ってきました。

 日曜日に搬入したトウキョウトガリネズミは、元気にギャラリーの前に出てきていました。無事、新しい飼育ケースにも馴れたようで安心しました。

 展示会場の入り口すぐの左手(モニターの前)に、ジャコウネズミが白いケースの中に展示されています。解説員が居ないと開けてもらえないので、わかりにくいですが、北海道産のトガリネズミとは大きさが全く違うので、中で動くとはっきり判ります。トウキョウトガリネズミからすると柴犬とヒグマくらい体格差があるように感じます(正確な比率ではなく、あくまで個人的な印象です)。

 昨年までは、解説員として原則土日に会場に行っていましたが、新型コロナウィルス対策の件も考慮し、また北海道では現在感染拡大傾向にあるので、土日のどちらかだけにする予定です。その代わりに、トガリネズミとネズミについての解説とトウキョウトガリネズミとオオアシトガリネズミに比較の映像作成して、モニターに流していますので、そちらを参考にしてください。時間は、解説編は約7分、比較映像は約3分です。

 現在の状況では、なかなか見に行けないかもしれませんので、展示内容の紹介や展示会場では見られないようなものも、これから期間中随時紹介していきたいと思います。

入り口の状況
展示の状況、入り口正面奥のガラスケースにトウキョウトガリネズミ、入り口すぐの左側の白いケースの中にジャコウネズミが展示されています。

今年も北大博物館でトガリネズミ展を開催します。

 

 長い間HP更新が滞っていましたが、再開します。新型コロナウィルス感染拡大の影響で、移動制限もあり野外調査にも影響がありましたが、単独でかつ調査先でも極力人と接しないようにして今年の現地調査も終了しました。今年の調査でも、新しい発見がありましたのでこれから順次紹介していきたいと思います。

 まずは、今年も北大博物館でトガリネズミ展を10月27日~12月20日まで行うことになりました。今年も私が飼育しているトウキョウトガリネズミの個体を出展します。機会があれば、見に来てください。今年は、北海道に生息している4種のトガリネズミだけではなく、北大低温研究所の大舘先生が海外から導入したジャコウネズミも展示されます。キャラバンと言って、子供が尾を加えて珠々つなぎなって移動する光景で知られている種です。これが見られたらとてもラッキーです。展示状況は、トガリネズミの世話をしてくれる学生さんが北大博物館のHPにアップしてくれますので、こちらをチェックしてください。

 今回は、新型コロナウィルスの影響で見に行けない方の多いと思いますので、これまで展示会場で私が解説していた内容などを開催期間中は随時アップしていきますので、見ていただければと思います。展示予定のトウキョウトガリネズミはすでに、展示用の飼育ケースに入れ、順応させています。今、展示会場で流す映像を鋭意作成中です。

次の更新は、開催日の27日の予定です。

10月27日の展示に向けて、新居にならしています。

3月1日の多摩動物公園のトウキョウトガリネズミの講演会は中止になりました

 3月1日に多摩動物公園で行う予定でした、干支の講演会2020 PART2 北海道浜中町・多摩動物公園パートナーシップ協定記念講演会「トウキョウトガリネズミが結ぶ縁」~ねずみじゃないネズミの話~ は、新型コロナウイルス感染対策のため中止になりました。

 中止は残念ですが、現状では仕方ありません。まずは、感染拡大を避けなければなりません。事態が収まってから、改めて開催については検討してもらえると思います。

 重篤の方の早期のご回復を願うとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りします。皆様もお気をつけください。

3月1日に多摩動物公園でトウキョウトガリネズミの講演会をします

3月1日に多摩動物公園で、干支の講演会2020 PART2 北海道浜中町・多摩動物公園パートナーシップ協定記念講演会「トウキョウトガリネズミが結ぶ縁」~ねずみじゃないネズミの話~を開催します。

2003年に私が嶮暮帰島でトウキョウトガリネズミを捕獲できることを確認したことを契機に、2005年から多摩動物公園と共同研究という形で、捕獲調査や飼育の方法の確立などを行ってきました。それがきっかけになり、2007年には浜中町と多摩動物公園との協働で「トウキョウトガリネズミのふるさとである浜中町の自然と野生動植物を守る」という意思表示のためにパートナーシップを締結していただき、12年の歳月が経過しました。

12年間も継続できたこと自体とても素晴らしいことなのですが、正直、当時多摩動物公園と浜中町で関わっていただいたい方の多くは退職され、パートナーシップを締結した当時の関係者の思いは少し薄れてきた気がします。これは組織である以上仕方ないことです。今回締結12年目を契機に振り返りをしていただき、昨年の浜中町での講演会と今回の多摩動物公園での講演会につながりました。とても感謝しています。

元々、私のトウキョウトガリネズミについて知りたいという思いに、多くの人に賛同していただいたことから始まり、今まで色々な方に応援・支援して頂いてきました。しかし、私個人ベースの研究ということもあり、細々と継続していくのが精一杯で、一番大きな目標である累代飼育まではまだ成功していません。関係者の方には大変申し訳ないと思っています。私も定年の年齢になり、残された時間を考えて、これまでとはアプローチを変更して、あと3年以内に最低トウキョウトガリネズミの出産状況だけでも確認すること目標に努力しています。

今回12年分の成果を報告する時間を設定していただいたので、時間があればぜひお越しいただけば幸いです。

詳しくは、多摩動物公園のHPをご覧ください。

事前申し込みが必要ですが、申し込みされると入園料が無料になります。講演会だけではなく、トウキョウトガリネズミの実物もぜひ多摩動物公園で見てください。申し込み期限は2月23日までです。

雪に穴を掘るトウキョウトガリネズミ

雪に対する行動を調べ始めて、1ヶ月が経ちました。今年の冬は近年には無い暖冬で、1月末から2月上旬だというのに、外気温とほぼ同じ環境の飼育ケースに入れた雪の大半が溶けて無くなり、2回も雪を入れ直しました。

初めの頃は、勢い良く雪を飛ばしながら穴を掘る場面を良く見ました。体が小さいのに、とても力強さを感じました。それを録画したいと何回かチャレンジしたのですが、なかなか新雪のような状態にならないこともあり、撮れません。やっと、1秒ほど撮れました。最初見たほど勢いよく激しくはありませんが、それなりの堅雪でもこれくらい雪を飛ばせるという、力強さを感じてもらえればと思います。

なお、移動しているスピードは編集されていません。トウキョウトガリネズミの移動速度は相変わらず高速で、追うのが大変です。

 

トガリネズミとネズミの区別4(トガリネズミの歩く姿)

前回、トウキョウトガリネズミの飼育下の雪上の映像をアップしましたが、これまで完全な自然状態下でトウキョウトガリネズミを観察できたことはありません。とにかく小さくて、突然出会い、写真を撮るなって、まだ十分な知見を得られていないので、奇跡に近いと思っています。

これに対して、オオアシトガリネズミには結構出会います。「見たよ」と教えてくれる方は、夏よりも冬の方が多い感じを受けます。特に「スキー場で見た」という話が多い気がします。雪上だと黒くて、ちょこまか、ちょこまかと慌ただしく動く感じに見えるので、目立つのだと思います。

前にトガリネズミは「尻尾をあげて走っている感じ」ということを書きましたが、映像を見ていただくの方が判ると思います。オオアシトガリネズミの映像が今一つですが、トウキョウトガリネズミと同じぐらい尾を上げています。

オオアシトガリネズミは、スキー場のある山地だけでなく、住宅街でも畑のあるところなら生息しているので、散歩することがあったら気をつけて時々雪面を見てください。出会えるかもしれません。

平ら場所を急いで移動する時は、尾を上げていることが多い

雪上のトウキョウトガリネズミ

今、トウキョウトガリネズミが雪がある時期にどのような行動をするのかについて調べています。

飼育ケースには雪がない部分もありますが、積極的に雪のある場所に来て、雪に穴堀ったり、木や草の隙間を利用して、トンネルを作っています。

トガリネズミとネズミ区別3 前足と歯(頭骨)

北海道でネズミみたいな死体を結構見かけることがありますが、人家周辺以外ではオオアシトガリネズミが圧倒的に多いようです。

死体によるトガリネズミとネズミの区別は、その場で前足の指の数を確認すれば判ります。トガリネズミは5本で、ネズミは4本です(左右は関係ありません。手元にあった写真の都合です。あと、くれぐれも、素手で触らないように・・)

また、死体が損傷していた場合、頭骨があれば歯の生え方でも区別することができます。切歯から臼歯間までの歯が無いのがネズミで、すべての歯が並んでいるのがトガリネズミです。頭骨の写真を比べると、鼻先(吻)にあたる頭骨の長さと形が異なることが、トガリネズミとネズミの吻の形状の差につながっていることが判ります。

前足の指の本数、または歯の生え方のどちらか一方でも確認できれば間違いありませんが、機会があれば両方確認してみてください。

トガリネズミとネズミの区別2(野外で見かけた時の判断)

前回の続きです。まず、ここでは、北海道での話が前提ということで話を進めます。(北海道以外も含めると注釈を多数入れる必要があるため、わかりにくくなりますので・・)

皆さんは、トガリネズミとネズミの区別をどのように判断されましたか?野外で、動いているのを見たとき、または死体に触らず、外見的に判断する場合から考えます。結論から言えば、「鼻先が細く尖っていて、尾が頭胴長の半分より少し長く、尾を上げながら走る、全体的に黒っぽい」感じがトガリネズミと言うことになります。

お気づきなったと思いますが、まず顔つきが違います。トガリネズミは鼻先が尖っていて、ネズミはトガリネズミに比べると丸い鼻先になります。

また、トガリネズミは、尾の長さが概ね頭胴長(体全体を伸ばした状態で、鼻先から尾の付け根までの間)の1/2以上ありますが、ネズミには、尾が頭胴長と同じかそれ以上あるものと、頭胴長の1/2以下の2つのタイプがあります。更に言えば、トガリネズミはネズミと比べて体色が全体的に黒く感じます(トガリネズミとネズミの比較1を参照)。

上の写真の左下の秤の写真を見てもらえると頭胴長と尾の比率の感じが解ると思います。しかし、他の写真を見ると止まっている状態では、エゾアカネズミもエゾヤチネズミも頭胴長同じかそれ以上という感じに見えます。すなわち、移動している(走っている)状態とジッとしている状態では、頭胴長と尾の比率の感じ方(見え方)が異なります。また、トガリネズミは基本的には尾をあげて移動しますが、ネズミは尾は地面につけていることが多いのが特徴です(ネズミの足跡には尾の跡がつくのが特徴です)。

実際に野外で動いているトガリネズミか、ネズミに遭遇した場合、鼻先を確認できるような状態は意外とありません。大概は、走っている場合が多いので、後ろ姿など顔が見えな状態に遭遇することになります。したがって、「小さくて、(鼻先が細く尖っていて、)尾が頭胴長の半分より少し長く、尾を上げながら走る、全体的に黒っぽい」というイメージが持てれば、たとえ鼻先が確認できなくても、今、目の前を通過したのはトガリネズミであったのか、ネズミであったのかがわかります。(続く)