トウキョウトガリネズミの夜の活動(飼育下)  2020/8/19 0:56

25分後の0:56に、ゆでミルワームを1つ餌入れから持ち出し食べたようです。0:31に生ミルワームを食べていますので、2時間どころか、たった25分後に食べたことになります。

別の個体で採餌間隔を同様な方法で調べたところ、下図のようになりました。実は、30~60分間隔で食べている状態が一番多かったです。2時間食べないと死ぬという話は、極限状態はどこまでという話であって、本来、そんなに極端な状態に追い込まれる前に、採餌するのは当然です。また、飼育下では、餌がどこにあるかも認識していると推察されるので、実はどれくらいでお腹がすくのか?ということに近く、自然状況とは本来は少し違うのかもしれません。

 

トウキョウトガリネズミの夜の活動(飼育下)  2020/8/19 0:31

1時間33分ぶりに、トウキョウトガリネズミが餌入れから生きたミルワームを運びだし、多分食べたと思われる記録が写っていました。その間記録数は33回になります、

前回の23:37に穴を掘ったあと、21分間後の23:58までは草を登ったり、流木や周辺をうろうろしていたりしていました。その間記録回数は23回です。23:58から0:25まで27分間は記録されていませんでした。多分、巣の中で休んでいたと考えられます。その後0:31の間に10回しか記録されていませんでした。二時間以内で食べているようです。そうなると次は2:00か2:30頃になる可能性が高いと思われます。さて、どうなるでしょうか。

トウキョウトガリネズミの夜の活動(飼育下)  2020/8/18 23:37

前回2020/8/18 23:35から2分後の映像です。この間2回の映像が記録されていて、流木や中央にある草に登っていたり、周囲を歩いて画面から消えていたりしましたが、23:37分に、映像の様に突然土を掘り出しました。

土の色からすると餌替えの時に水が少量こぼした場所のようです。突然掘り始めましたが、何も成果を得られていないようですが、やめてしましたました。

トウキョウトガリネズミの夜の活動(飼育下)  2020/8/18 23:35

自動撮影装置は、トロフィーカムXLT30MPを使用していて、トリガースピードは0.2秒で、1回の撮影時間は30秒に設定しています。

昨日の2020/8/18 22:58から37分後の映像です。この間に2回映像が記録されていますが、23:00以降約35分間映像が記録されていませんでした。飼育ケースの一部が写っていない場所もありますが、巣箱しか置いてありません。したがって、約35分間外では活動せず巣箱内にいたと思われます。22:58に餌を食べてから、現在まで食べていません。

トウキョウトガリネズミの夜の活動(飼育下)  2020/8/18 22:58

久々にトウキョウトガリネズミの話に戻ります。これから少し、飼育小屋で飼育されているトウキョウトガリネズミの自動撮影装置に記録された行動を紹介したいと思います。

飼育小屋を建てるまでは、書斎の一角で飼育していました。したがって、私の生活が影響を与えていたと推察されます。しかし、飼育小屋に移動させてからは、人間の影響を受けるのは最小限になりましたので、より自然な行動に近いと考えています・・・。

この映像は、餌を入れているケースから餌を取ろうとして、バランスを崩した。その後、その場所で食べずに、流木の下まで持って行き、そこで食べたという行動です。

餌を入れているケースが少し大きく、高さ(深さ)もありますので、餌までの距離が意外と遠かったのでしょう。バランスを崩したようです。餌を餌箱から取りだして、その場で食べることも結構見ますが、今回は外敵から狙われないようにか、流木の下まで持って行って食べていました。夜間ですので、捕食者は少ないと思いますが、やはりフクロウを気にしているのでしょうか?

この場所で飼育されて、2週間ほど経過しているので鳥の気配が無いことにも気がついているかと思いますが、油断はみられません。これが本来の姿のなのかもしれません。納得できる行動です。

 

嶮暮帰島の生態系のイメージ

嶮暮帰島の生態家のイメージ(絵は、(株)野生生物総合研究所の森田さんによるものです)

東日本大震災から10年目ということで、嶮暮帰島について思いつくことを書いてきました。合わせて、気がついたら嶮暮帰島に通い初めてから20年を超えていることを改めて認識しました。しかし、意外と嶮暮帰島の変化についてまとめていなかったことと、記録もあまりしっかり取っていなかったことに気づきましたので、資料を整理しようと思ったのがきっかけでした。この22年間、嶮暮帰島に行かなかった年はありませんでしたが、いつも、調査準備に疲れ、現地では時間が足りなく、睡眠不足で、とんぼ返りで自宅にもどりトガリネズミの飼育と仕事するということが恒例になっており、とにかくトガリネズミ調査以外の調査は基本的には行って来なかったのも事実です。しったがって、トガリネズミ以外の島の記録が曖昧なところも多いことが判りました。

改めて整理していて気づきました。津波の話から始めましたので、また重要なことを書いていなかったことです。上の図が、嶮暮帰島の主な鳥類と哺乳類が一番数多く生息している場所のイメージ図です。これをもっと早くアップしておくべきでした。嶮暮帰島のイメージが全く無い状態でのこれまでの話はわかりにくかったと反省しました。

図の左側は外海で、右側は琵琶瀬湾になります。エゾヤチネズミとオオアシトガリネズミは台地の上部にも、またトウキョウトガリネズミがいる琵琶瀬湾側の海岸線にいますが、この2種が多いのは台地上の上部になります。

 

 

 

嶮暮帰島のいきもの エゾヤチネズミ

個体数推計調査を行っていませんので本当のところは判りませんが、嶮暮帰島でコシジロウミツバメに次いで個体数が多いと思われるのは、エゾヤチネズミかもしれません。とにかく、箱罠(シャーマントラップ)をかけますと、すぐに罠に入りますし、トガリネズミ捕獲用の墜落函にも、エゾヤチネズミが入っていることが結構あります。時には幼獣が3個体墜落函に入っていたこともありました。エゾヤチネズミの成獣は、深さ20cm程度の墜落函くらいは自由に出入りできるようなジャンプ力はあります。しかし、見回り中に墜落函にエゾヤチネズミが結構入っていることがありますが、そのような個体は居心地が良いのか、墜落函から追い出さないと出て行かない個体の方が多いです。また、一晩中何回も同じ墜落函にエゾヤチネズミが入っていることもあります(多分同じ個体と思われますが)。

自動撮影装置では、エゾヤチネズミは墜落函から飛び出てくるところも撮れていますが、トリガーの関係できれいなジャンプして出てくる瞬間は撮れていません。今回は、墜落函が設置されているなか、墜落函の前でどのようなことが展開されているかエゾヤチネズミの行動をピックアップしてみました。

 

嶮暮帰島のいきもの クイナ

嶮暮帰島で、トウキョウトガリネズミの捕獲調査をしていると文句を言われることがあります。それは、クイナです。クイナは、捕獲調査をしている環境周辺で営巣しています。

罠を設置している場所をクイナな行動圏ですので、時々ニアミスをします。そうすると、ピィ=と鋭く何回も鳴かれ怒られます。とは、言っても、クイナは草の中ですので、見る事はほとんどありません。

しかい、映像のように捕獲調査地域を利用しており、雛までつれています。なるべく、クイナの繁殖の邪魔をしないように、怒られたらできるだけ、速やかにその場を離れるように努めています。

 

嶮暮帰島のいきもの コシジロウミツバメ その2

手袋についている赤いのは、コシジロウミツバメの吐瀉物

コシジロウミツバメは、体長21cmの小さな海鳥です。土に穴をほって巣穴としますが、体は小さく、穴を掘るには非力です。したがって、石が多い場所、硬い土、ササの根が張っているような掘りにくい場所では、巣穴が掘れません。嶮暮帰島は台地上の島で、上部の台地では嘗て、耕作と放牧が行われており、畝や土塁が各所に残っています。よって、ササが生えていない傾斜地、畝、土塁などの凹凸のあり、水はけの良い場所が巣穴を掘る場所に選ばれます。しかし、巣穴を深く、丈夫に掘れるわけではないので崩れやすいものになります。特に人間が歩くと巣穴を踏み抜いてしまうことが多々ありました。 私が2000年に調査するまでは、そのような状況は知られていなかったため、嶮暮帰島の台地上の部分を自由に歩きわまっていましたが、現在は歩くコースが決められ、コシジロウミツバメの巣穴を踏み抜かないように配慮されています。

コシジロウミツバメの巣穴

 トウキョウトガリネズミの捕獲場所は、台地部分ではなく低地の海岸部分で、過去に昆布を干すための干場だった場所が主です。干場は石を敷き詰めて作られます。昆布干しとして利用されなくなって、場所によっては60年以上経過しているところもありますが、未だに石が多く、墜落函を埋めるために穴を掘るのは結構大変です。しかし、墜落函を掘るときにコシジロウミツバメの巣を破壊することはありませんので、とても気が楽です。

コシジロウミツバメは、弱くて、不器用な鳥です。日中、巣穴から出てしまうと陸上では動きが遅く、オオセグロカモメ、カラスなどに襲われてしまいます。したがって、島ではこれら捕食者の活動が低下している夜間に行動します。襲われても、鋭い嘴や爪があるわけではありませんので、唯一の抵抗が胃の内容物を吐くことです。オキアミを食べていますので、吐瀉物は血のよう赤くて、臭いですが、ほとんど防御になっていないような気がします。また、着地が下手です。巣の位置を知られないように、少し離れたところに降りますが、その降り方が着地というより落下という感じです。そして、よたよたと巣穴まで歩いて行きます。
トウキョウトガリネズミの捕獲地内には巣はないのですが、巣は周辺にありますので、調査地内に落ちてきます。さすがに、歩いている人間にむかっては落ちて来ませんが、テントにぶつかったり、罠の側に落ちてきたりします。暗闇の中で出会いますので、何度もびっくりさせられます。

嶮暮帰島のいきもの コシジロウミツバメ その1

コシジロウミツバメ

嶮暮帰島では、津波の影響でウミネコのコロニーが形成されたという話を書きました。私が嶮暮帰島に通い初めてから22年経過しましたが、ウミネコのコロニーが嶮暮帰島で目立ったのは、2011年を中心としては前後2年間ほどの5年程度です。それまでは、コシジロウミツバメとオオセグロカモメが優占していました。

特に、嶮暮帰島のコシジロウミツバメは、2000年に私が調査した結果では、20,000ペアは生息していると推察され、国内でも2番目に多いコロニーを形成していることが判っています。

コシジロウミツバメは、普段は洋上で生活しており、5月~9月中旬まで子育てのために嶮暮帰島に来ます。地中に穴を掘り、その中で卵を産み、子を育てます。親は、雛が小さい時は交代で洋上に餌を取りに行いきます。日が暮れてから島に戻ってきて、日の出前に島を離れます。最盛期の8月には20時頃から3時頃まで、独特な鳴き声がずっと続きます。以下の動画は、トウキョウトガリネズミの捕獲地調査地上空の状況です。この調査地は、嶮暮帰島の中でもコシジロウミツバメの営巣が少ない地域ですが、6~8月の調査では毎晩このような状態の中で調査を行います。暗闇の中で撮影していますので、飛んでいるところを追うの難しいです。この映像は、飛翔個体が少ないの方です。

霧の中、嶮暮帰島に戻ってきたコシジロウミツバメ