トウキョウトガリネズミの夜の活動(飼育下)  2020/8/19 0:31

1時間33分ぶりに、トウキョウトガリネズミが餌入れから生きたミルワームを運びだし、多分食べたと思われる記録が写っていました。その間記録数は33回になります、

前回の23:37に穴を掘ったあと、21分間後の23:58までは草を登ったり、流木や周辺をうろうろしていたりしていました。その間記録回数は23回です。23:58から0:25まで27分間は記録されていませんでした。多分、巣の中で休んでいたと考えられます。その後0:31の間に10回しか記録されていませんでした。二時間以内で食べているようです。そうなると次は2:00か2:30頃になる可能性が高いと思われます。さて、どうなるでしょうか。

トウキョウトガリネズミの夜の活動(飼育下)  2020/8/18 23:37

前回2020/8/18 23:35から2分後の映像です。この間2回の映像が記録されていて、流木や中央にある草に登っていたり、周囲を歩いて画面から消えていたりしましたが、23:37分に、映像の様に突然土を掘り出しました。

土の色からすると餌替えの時に水が少量こぼした場所のようです。突然掘り始めましたが、何も成果を得られていないようですが、やめてしましたました。

トウキョウトガリネズミの夜の活動(飼育下)  2020/8/18 23:35

自動撮影装置は、トロフィーカムXLT30MPを使用していて、トリガースピードは0.2秒で、1回の撮影時間は30秒に設定しています。

昨日の2020/8/18 22:58から37分後の映像です。この間に2回映像が記録されていますが、23:00以降約35分間映像が記録されていませんでした。飼育ケースの一部が写っていない場所もありますが、巣箱しか置いてありません。したがって、約35分間外では活動せず巣箱内にいたと思われます。22:58に餌を食べてから、現在まで食べていません。

トウキョウトガリネズミの夜の活動(飼育下)  2020/8/18 22:58

久々にトウキョウトガリネズミの話に戻ります。これから少し、飼育小屋で飼育されているトウキョウトガリネズミの自動撮影装置に記録された行動を紹介したいと思います。

飼育小屋を建てるまでは、書斎の一角で飼育していました。したがって、私の生活が影響を与えていたと推察されます。しかし、飼育小屋に移動させてからは、人間の影響を受けるのは最小限になりましたので、より自然な行動に近いと考えています・・・。

この映像は、餌を入れているケースから餌を取ろうとして、バランスを崩した。その後、その場所で食べずに、流木の下まで持って行き、そこで食べたという行動です。

餌を入れているケースが少し大きく、高さ(深さ)もありますので、餌までの距離が意外と遠かったのでしょう。バランスを崩したようです。餌を餌箱から取りだして、その場で食べることも結構見ますが、今回は外敵から狙われないようにか、流木の下まで持って行って食べていました。夜間ですので、捕食者は少ないと思いますが、やはりフクロウを気にしているのでしょうか?

この場所で飼育されて、2週間ほど経過しているので鳥の気配が無いことにも気がついているかと思いますが、油断はみられません。これが本来の姿のなのかもしれません。納得できる行動です。

 

嶮暮帰島の生態系のイメージ

嶮暮帰島の生態家のイメージ(絵は、(株)野生生物総合研究所の森田さんによるものです)

東日本大震災から10年目ということで、嶮暮帰島について思いつくことを書いてきました。合わせて、気がついたら嶮暮帰島に通い初めてから20年を超えていることを改めて認識しました。しかし、意外と嶮暮帰島の変化についてまとめていなかったことと、記録もあまりしっかり取っていなかったことに気づきましたので、資料を整理しようと思ったのがきっかけでした。この22年間、嶮暮帰島に行かなかった年はありませんでしたが、いつも、調査準備に疲れ、現地では時間が足りなく、睡眠不足で、とんぼ返りで自宅にもどりトガリネズミの飼育と仕事するということが恒例になっており、とにかくトガリネズミ調査以外の調査は基本的には行って来なかったのも事実です。しったがって、トガリネズミ以外の島の記録が曖昧なところも多いことが判りました。

改めて整理していて気づきました。津波の話から始めましたので、また重要なことを書いていなかったことです。上の図が、嶮暮帰島の主な鳥類と哺乳類が一番数多く生息している場所のイメージ図です。これをもっと早くアップしておくべきでした。嶮暮帰島のイメージが全く無い状態でのこれまでの話はわかりにくかったと反省しました。

図の左側は外海で、右側は琵琶瀬湾になります。エゾヤチネズミとオオアシトガリネズミは台地の上部にも、またトウキョウトガリネズミがいる琵琶瀬湾側の海岸線にいますが、この2種が多いのは台地上の上部になります。

 

 

 

嶮暮帰島のいきもの 鳥の声

嶮暮帰島には入島制限があります。現在は、仲の浜ペンションポーチだけが嶮暮帰島ツアーをやっていて、日中だけ観光客が島を訪れることができます。私達は、浜中町の入島及び宿泊許可を得て捕獲調査を行っています。

私は22年間嶮暮帰島に年に最低1回、多い年は5回キャンプして来ました。嶮暮帰島でキャンプをして、毎年感動するのは、嶮暮帰島の音、特に鳥の鳴き声が、時間帯によって、季節よってめまぐるしくかつ劇的に変化することを体感することです。7月は生命の爆発的な活動力を感じますが、9月中旬を過ぎると生命をほとんど感じない不気味な感じに囚われるほど静寂に包まれます。多分体感しないと判ってもらえないと思いますが、これほど生命の活力を肌で感じることが出来る場所は、そんなに数多くないと思います。

季節的には5月頃から、コシジロウミツバメ、オオセグロカモメ、ウミネコなどの海鳥とオオジシギ、エゾセンニュウ、ノビタキ、クイナなど草原性の鳥が少しずつ訪れ、段々にぎやかになって来ます。7月をピークに8月中旬になると段々静かになり、9月中旬になりますと、信じられないほど静かになります。この間の劇的は変化は、表現が難しいのですが、ピーク時は生命のいぶきが爆発しているパワーを鳥の鳴き声多さ、大きさから感じます。

また日中と夜間では全く異なり、夜間は日中とは比べものにならないほどパワフルです。しかし、どんなにパワフルでも日の出60分前頃から、一瞬ほぼ無音みたいに鳥の鳴き声がピタットと無くなる時が10~20分程度必ずあります。それは、夜の主役のコシジロウミツバメやカモメ類から、日中の主役のエゾセンニュウに変わる一瞬の変わり目の時です。この時の静けさが何とも言えません。

しかし、この変化は8月中旬くらいまで、その後ような季節的、時間的変化がピタッと無くなります。この差は、恐怖感じるくらいの差です。夏場の夜間は他の生き物と一緒にいるという実感を得ますが、秋になると一人だけ死の島に来たのではないかと思うほど生き物の気配を感じ無くなってしまいます。

夜間寝ないで調査をする、トガリネズミ調査の特権かもしれません。出来ればこの生命の活力を多くの人に感じてもらいたいと思います。身近な環境でも同様なことが起きているはずなので、本来ならどこでも体感できるはずなのですが、嶮暮帰島で徹夜の調査を行うと感覚が研ぎ澄まされるからかもしれませんが、数十倍増幅されて感じることができます。この感覚を私が十分お伝えできないのがもどかしく、残念です。

下記の映像は、7月中旬の同じ場所の状況で、前半は22時頃で、後半は3時半頃の状況です。鳥の声に着目してください。本当の静けさはこの後半のよりももっと少ないです。無音だと気づいて、撮影しようと外にでたらもうこれくらい鳴いていました。正直、寝ぼけていたので出遅れました。

 

季節はずれの換毛3

2021年2月14日換毛に最初に気がついた時
2021年3月4日2週間後の換毛の状況

今日で、季節はずれの換毛に気づいて2週間経ちました。かなり換毛部分が増えましたが、少し進むのが遅い感じがします。過去の観察では10月末頃から始まり、換毛の速い個体は約2週間くらいで、頭部近くまで換毛が進んでいる個体もいました。概ね3週間程度で換毛の完了するのですが、どうなるのでしょうか?

これまで寒い日が続いていましたが、これから段段暖かくなってきます。興味深いです。

1月から2月の気温とトウキョウトガリネズミの採餌量

今日の換毛状態。少しずつですが、換毛が進んできています。

今日で2月も終わりです。2021年1月1日0:00~2021年2月28日の17:30までの気温変化状況は、平均気温ー3.3℃、最高気温7℃、最低気温ー16.9℃と記録されていました。最低気温は、1月10日7:45~8:15まで記録されています(15分間隔で記録しています)。10日の平均気温はー9.85℃で、-16℃台は、6:00~9:30まで記録されていました。次に最低気温が低いのが-15℃台で、1月2日、2月6日に記録されていました。道央にしたらかなり寒い方ですが、生息地の道東ならー20℃以下になることもしばしばあることを考えますと、トウキョウトガリネズミにとっては、まだ暖かいのかもしれません。

食べた餌量ですが、1月10日は確かに食べた量は、他の日より多かったのですが、-15℃代の時は普段とそんなに差があったわけではありません。詳細な状況は、今データを検討中です。食べる量が突然増減することがありますが、気温変化が極端だと、食べる量が増減すると言えるまでの相関性はまだ確認されていません。

 

 

コオロギの一時保管

最近は、毎晩コオロギを与えています。まずは、餌入れと水入れを飼育ケースから取り出し、その直後にコオロギを入れます。飼育小屋の中の気温は、氷点下なのでコオロギは動きません。生きたミルワームとゆでミルワームの残量を計測してから、すべてを新しい餌と水に入れ替えて、飼育ケースに戻します。その間5分程度です。

大概、その間にコオロギは無くなっています。どこかに一時保管をするようですが、昨日あたりから場所が変わったらしく、外から見えるようになりました。その様子が、上記の写真です。

夏場などコオロギが元気に動いているときは、その場で食べることがほとんどで、どこかに隠すという行為はほとんど見られません。食い散らかしてそのままという感じです。秋には流木の隙間にミルワームを数個差し込んでいたことを見たことがありますが、すぐに食べられています。貯食(長期間食べずに置いておく)しているという確信を持てるような状況は、まだ確認できていません。観察される状況が微妙なのです。

オオアシトガリネズミは、餌入れから毎回草の中に餌を運び込む行動をとる個体もいました。それも、ゆでミルワームだけ、無くなるまで運び込みます。すべての個体がするわけではありませんし、行動に個体差が大きく、まだなんとも確信を持てません。

しかし、トウキョウトガリネズミは一時保管してから食べるということは、餌によっては行うみたいです。これからも、観察を続けます。

雪の中

昨日は、久しぶりに結構な降雪がありました。今朝は除雪が入り、それなりに雪かきをしましたが、岩見沢などに比べれば申し訳ないほどのレベルです。

雪の中でどんな行動をしているかは、映像のような状態を観察して推察するほかありません。映像のように雪の中に穴を掘ってトンネルを作ったりしているので、このような雪の中でも野生のトウキョウトガリネズミは、活発に活動しているのでしょう。それにしても、冬季に捕獲してみたいものです。