トウキョウトガリネズミの歩く?走る?スピードは時速2km超え?!

上記の映像のようにトウキョウトガリネズミがケースの端から隣のケースへ移動するスピードは、1秒未満で約70cmは移動していることが、ケースの大きさから判ります(メーカーで公表しているケースの長さは74cm)。

映像では、特に驚いている様子もなく、普通に移動しています。これを歩いているというのか、走っているのか、トウキョウトガリネズミ本人に聞いて見ないと判りませんが、これが実際の普通の移動速度になります。正確には、カメラの前から隣のケースへ移動距離はカメラの長さが8cmありますので、66cm程度となります。壁面にきっちりとつけている訳ではないので、切りの良いところで65cmの移動距離と仮定します。

実際には1秒かかっていませんが。1秒で約65cmですから、3600倍すると1時間に234,000cm=2,34km、え!時速2kmということですか?

人間の歩く速度は時速4km程度と言われますから、人間の半分の速度ですが、歩幅は、トウキョウトガリネズミは人間の1/42.5ですから、人間が時速85kmに相当する距離を移動すること似ていると言えるでしょう(トウキョウトガリネズミの前足と後足の間隔は2cm程度で、人間は身長が170cmで歩幅85cm程度)。1時間もトウキョウトガリネズミは移動しませんから、時速85kmで歩く人間相当と言ってみても意味があるとは思えませんが、歩幅が小さいということを考えると、結構高速移動しているとは言えるでしょう。

ガリガリしている雪だと穴が掘れないトウキョウトガリネズミ

昨日、トウキョウトガリネズミは凍った雪だと掘れないということを書きましたが、どの程度なのかを示したものが下記の動画です。

一度プラスの気温になった後の庭の雪を入れたケースに、トウキョウトガリネズミを放したものです。スコップでひと掻きしたものをそっと入れたものです。偶然できたヘコみが一カ所あったのでそこに隠れようとしますが、不十分なのでそこを掘ろうと頭からアタックしますが、堅くて掘れないようです。

堅さは、人間が転んで素手で手をついたら、小さな氷のつぶつぶを感じるくらいのざらざらしている状態です。むしろ、転んだ時に擦り傷ができるか出来ないか程度のガリガリ感のある状態と言った方が似ているかもしれません。

下の映像には載せていませんが、狭い隙間に入ろうと探していますが、結局落ち着つけるような大きさと快適さのある場所が見つからず、うろうろしていましたので、5分ほどで回収して、いつもの飼育ケースに戻しました。

冬はどうしている?

北海道に生息しているトガリネズミの仲間で、トウキョウトガリネズミ、オオアシトガリネズミは、冬眠しないことは飼育して確認しました。私は、ヒメトガリネズミとエゾトガリネズミは、冬季に野外で飼育をしたことがありませんので、冬眠していないことまだ確認できていません。しかし、両種とも冬眠はしていないと推察されます。ヒメトガリネズミについては、霧多布湿原センターに勤務していた時、2月に建物に中に入ってきた個体を捕まえたことがありますので、冬眠していないと考えます。

さらに、積雪期にどこで、どのように生活しているのかについては、全く判っていません。雪上を歩くオオアシトガリネズミの紹介は以前しましたが、ずっと雪上とは考えられません。したがって、雪の下での行動が主体と考えるのが自然です。

トウキョウトガリネズミの飼育下での行動を見ていますと、雪にトンネルを掘りますが、堅く凍っていると掘れないようです。多分、雪の下では、映像のように枯れ木とか枯れ草などと雪の間にできた空間を、トンネルでつなぎなから活動しているのでないかと推察されます。

砂に穴を掘るトウキョウトガリネズミ

トウキョウトガリネズミが砂に掘った穴

2020年2月15日に雪に穴を掘るトウキョウトガリネズミの映像に書きましたが、本日は砂についてです。

トウキョウトガリネズミは雪だけではなく、床材として土を入れると短いトンネルを掘ることもありますが、穴を掘るところや掘った跡を確認することがほとんどありません。むしろ、草と土の間に通り道を作るような痕跡の方が良く確認されます。

昨年は、海岸で捕獲したトウキョウトガリネズミの個体には、床材として捕獲した場所の砂を入れました。そうすると、翌日は写真のように砂の各所に穴があいています。1ヶ月くらい経過すると砂を交換しますが、同じような穴があいていました。

何をしているかといいますと、砂の中にいるハマトビムシなどの餌を探しているようです。現地では、このように砂に穴があいているところは確認していません。たぶん野外では、ハマトビムシ類はそんなに砂の中、深くまでは潜っていません。砂は捕獲地から持ってきて入れるため、必然的に砂がまざることになります。したがって餌となるハマトビムシ類が砂の中で混ざるため、野外より深い位置にハマトビムシが居ることなります。したがって、普通より深く掘るため、はっきりした穴になってしまうようです。

トウキョウトガリネズミが掘った穴

氷を囓るトウキョウトガリネズミ

連日寒い日が続いています。今年は、昨年末からほとんどプラスの気温になっていません。飼育小屋は、当然マイナス気温で水分はすべて凍っています。

ゆでたミルワームも数時間すると凍ってしまいます。餌替えをする時に、水も毎回交換しますが、これもまた数時間で凍ってしまいます。水替えをしますと、大概はすぐに飲みに来ます。喉が渇いているのかもしれません。

しかし、いずれにしても、水は凍ってしまいます。凍った後はどうするかといいますと、氷を囓って水分補給をするようです。それは、オオアシトガリネズミでも一緒ですが、なぜかトウキョウトガリネズミは氷の上で糞をすることが多いです。

氷を囓る時に踏ん張るからなのでしょうか?餌や水が入った器内では糞尿をすることを基本的にしないトウキョウトガリネズミですが、氷の上では、かなりの頻度で糞をしています。

これに対して、餌や水の入った器内に平気で糞尿をするオオアシトガリネズミは、凍った水の上では糞をしていません。器と体の大きさの関係で、氷を囓る際に糞が器の外に落ちてしまうのかもしれませんが、冬になると水入れがきれいであることに、いつもある意味感動します。

現在は、トウキョウトガリネズミの飼育ケースには雪は入れていません。普通は雪をなめている方が多いのかもしれませんが、雪を入れていても、氷を囓った後はありました。

中央部の筋状にへこんでいるところ(溝状になっている)が、トウキョウトガリネズミが囓った跡。氷上部の茶色俵状のものは、トウキョウトガリネズミの糞

トウキョウトガリネズミの夏毛と冬毛

今日は、北海道もかなり荒れました。ホワイトアウト状態になるほどの激しい風と雪でした。それでも、トウキョウトガリネズミは元気です。

動物には、夏毛と冬毛があります。変化が激しい種は、ユキウサギ、イイズナ、オコジョに代表されるように、夏は体全体が茶色で、腹面は白っぽいですが、冬は体全体が真っ白に変化します。

さて、トウキョウトガリネズミはどうなるかといいますと、下図のようになります。個体差がありますが、夏毛は全体的に茶色で、腹面は白っぽいです。写真の個体は、どちらかというと黒っぽい個体です。冬毛は茶色と白の差がはっきりわかるほど白くなります。

夏毛
冬毛

 

冬毛には、白い差し毛が入ります。個体によりますが、夏より冬はかなり白っぽく見えます。よく見ると意外とモコモコした感じがあります。光の当たり方で白っぽさの印象はかなり変わります。いずれにしても、冬になると茶と白のツートンとはっきり判るようになります。

冬毛のトウキョウトガリネズミ 腹の白い毛の状態を見てください。暖かそうです。
冬毛のトウキョウトガリネズミ 全体的に白っぽい個体

トガリネズミの巣の作り方 その2’(仮映像・・・)

ダメです。掲載したかった映像が見つかりません。4時間以上探しましたがみつかりませんでした。

そこで、昨日書いた時点で掲載する予定だったものとは異なる映像をアップします。トウキョウトガリネズミが、草の中で寝ている様子と体を回転させて巣を整えている映像です。基本的に、巣を作るときの方法と同じ動作です。

確か16~17年前の映像で、嶮暮帰島で捕獲できるようになって2~3年後の映像ですので、とても画質の荒い映像になっています。2年前に別の角度でもっとはっきりした映像が撮れたのですが・・・。

目的の映像が見つけられましたら、後日アップします。

 

 

トウキョウトガリネズミの巣の作り方 その1

トウキョウトガリネズミ、ヒメトガリネズミ、オオアシトガリネズミは、草で球状の巣を作ります。(エゾトガリネズミについては、あまり飼育していませんのでまだ十分な確認が出来ていませんが、多分同じように作ると思います。)

作り方には、幾通りかの方法があるようです。まず、巣を作りたいと思う場所に、近くのあるときはその場で草を、全身を使って丸めながら引き込みますが、近くにない場合は、まず材料を集めます。

上記の映像は、下図のような配置して撮影しています。撮影時には左側のケースは床材としてチップを敷いてその上にほぐした牧草を約5cm厚で敷き詰めた状態になっていて、餌と水は、撮影しているケースにしか無い状態になっています。映像の前半は、数時間前に現在のケースに入れたばかりの状態です。その後床がアクリル版のままでしたので、流木の下に草を敷いたら、草を集める行動が撮影されました。

通常は草を厚く敷いていることが多いですので、映っているような引き込みは、あまり見かけませんが、必要であれば草を集めてくることが判ります。

赤枠で囲っている配置で撮影している。飼育ケース内の流木などの配置状況は撮影時とは異なる。

最低気温-16.9℃を記録しました。

 

本日、飼育小屋のデータロガーを数日ぶりに確認したところ、昨日の朝に、最低気温-16.9℃を記録していました。1月6日はー15.5℃でしたので、久しぶりの記録更新です。アメダスの記録では、1月6日-20.4℃(24:00)、1月10日-21.9℃(6:30)でしたので、5℃程度小屋の方が暖かいことになります。

本格的に野外で飼育しいくを始めて2冬目になりますが、昨年とは比べようもないほど連日とても寒い日が続いています。生きたコオロギやミルワームは、すぐに動かないなり、ゆでミルワームと水は当然凍ってしまいます。水を換えたら、凍らない間に水を必ず飲むようです。それでも、足りないので凍った水には、囓った跡が残っています。

でも、トウキョウトガリネズミは元気にしています。草に登っている時間は短いですが、餌替えの時には必ず姿をみせてくれます。

 

トウキョウトガリネズミを見分ける 1 <直接トウキョウトガリネズミとオオアシトガリネズミの体格を比較する>

トウキョウトガリネズミでは無いかと、時々問い合わせを頂くことがあります。その約95%がオオアシトガリネズミです。ネットで検索すると大きさの書かれ方が間違っていたり、曖昧な書き方だったりしますので、トウキョウトガリネズミを発見したと思われる見たいです。

これから数回に分けて、トウキョウトガリネズミを見分けるための基礎知識を整理したいと思います。問い合わせの際に同定に必要な観点も紹介しますので、ぜひ参考にして頂けばと思います。

今回は、オオアシトガリネズミとの体格差をまず確認をしてください。死体による比較写真は時々ありますが(このHPの基礎情報にもあります)、今まで生きた状態でトウキョウトガリネズミとオオアシトガリネズミが同じ画面でサイズ比較した映像はないと思います。そもそも、野生下でも生きた個体を同時に見る事自体まず無いと思いますが、生きている状態をまず見て頂けるとその大きさの差がはっきりわかると思います。

映像の後半に、生きたミルワーム(全長約2cm)が入れてありますので、それを基準に大きさを確認してみてください。下の写真はその場面を拡大していますので、参考にしてください(クリックすると大きくなります。なお、トウキョウトガリネズミは、小さいアクリルケースに入れた上でオオアシトガリネズミを放したケースに入れてありますので、アクリル板2枚越しの映像になっているため、ぼけています。)

左:オオアシトガリネズミ、右:トウキョウトガリネズミ