やっとトウキョウトガリネズミのあくびのスロー映像が撮れました。飼育しているとあくびをたまに見ることがありますが、撮影するとなるとなかなか撮れないものです。
そもそもあくびは、哺乳類だけではなく爬虫類や鳥類でも起こることが知られています。人間があくびする時は、眠たいとき、疲れているとき、退屈なとき、極度の緊張状態のとき、寝起きに起こるとされています。その理由は、酸欠になっているからとか、脳の温度を下げるためとか言われていますが、解明されたとはまでは言えない状況にあります。
トウキョウトガリネズミに関しては、寝起きやじっと同じ体勢でいて、活発に活動をし始めるときに見られます。脳の温度を下げるという理由の一つとして、人間は体温より高い環境ではあくびをしないことがあげられています。しかし、トウキョウトガリネズミは、そもそも基本的に自分の体温より高い気温なる環境に生息していませんし、25℃を超えると口でハアハアと息をする状況もみられ、35℃を超えると死んでしまうこともあるので、そう簡単に同じ状況とは思えません(注1)。今回の映像は気温0℃から5℃の間で、寝ていた後にあくびをしたことから考えると、脳の温度を下げるほど温度が上がっていたのかが疑問になるところです。体が小さくて、寒いところに生息していることから基礎代謝量を高い状態で維持する必要があることを考えると、そう簡単に脳の温度を下げるような状況を体内に作り出すのは、戦略的に不利な印象を受けます。そもそもあくびの理由が、すべて種で同じなのかも検証されていないので、全く別の理由があるのかもしれません。
とにかく、あくびをみるとホットします。なぜなら、あくびを見るときは今のところ常に寝起きの状況なので、緊張状態とは思えないからです。それは、飼育下でも少しでもストレスが少ない状態であって欲しいという私の勝手な思いかもしれませんが・・。