あけましておめでとうございます。

新年あけまして、おめでとうございます。

1年間、HPを全く更新せず過ぎてしまいました。更新しなかった1年間トガリネズミについて全く何もしていなかったのではなく、トウキョウトガリネズミとオオアシトガリネズミの出産に関する論文を各1本書き上げ、昨年もトウキョウトガリネズミなどの出産やペアリングを試みました。しかし、論文の完成は3月までかかり、終了したらすぐに捕獲調査の準備、捕獲調査開始となり、あっという間に時間が経過していました。(何回も更新しようと思いつつ、半年経過したときには、この際1年間実質休止にするか・・という誘惑に負けてしまいました。それは、正直2021年と比較して昨年の2022年の成果が今一つだったこともあります。)

さらに、新たなトウキョウトガリネズミの保全活動も開始することになり、さらに本格的に環境Home Doctorという勉強会を月2回主催していたこともあり、HPの更新まで正直手が回りませんでした。新たに始めたことも1年間経過したことから、少し余裕ができてきたので、これら新しく始めたことを紹介するためにもHPとYouTubeも再開することにしました。

今年はトガリネズミのイベントを開催する方向で準備していますので、その過程も紹介できればと考えています。これからは、HPは1週1回程度(たぶん)のペースで更新していく予定で行きますので、よろしくお願いします。

(更新間隔が長くなってきたら、きっと何か進展があったということかもしれません(^_^))

草に隠れるトウキョウトガリネズミ

謹賀新年(トウキョウトガリネズミ生後6日目です)

新春のお慶びを申し上げます。

昨年の8月にトウキョウトガリネズミの妊娠個体を捕獲してから、1日があっという間に過ぎていくのを繰り返し、気がついたら新年を向かえてしまいました。初めてトウキョウトガリネズミの新生仔を見ることが出来ただけではなく、一時期北海道に生息するトガリネズミ属全4種、計28個体を同時に飼育していた時期もあり、餌替えするだけで、1日3時間かかる日が20日間ほど続いたりして、色々なことがあった年になりました。8月からずっと平均睡眠時間が4時間半というのは今の私の体力では日々やり残しが累積していくだけでした。したがって、HPだけでなく、新しくYouTubeも始めたのですが、全く更新できずにいました。まだ、通常に戻るためにあと1週間くらいかかるのですが、新年を迎えたということで、HPを更新しました。

今回の映像はトウキョウトガリネズミの新生仔6日目の映像です。とにかく、精一杯生きているというのを感じる映像でしたので、元旦には良いかと思いアップしました。

巣から取り出すのに素手では潰してしまいそうでしたので、ヨーグルト用のスプーンで巣から取り出し、体長を計測するためにスケールに置いたところを映像に撮りました。体重と体長の計測をして、撮影しても巣から取り出している時間は4分程度です。どきどきしながら、作業をしていました。

トウキョウトガリネズミの赤ちゃんについては、1月中旬頃から詳しく紹介して行く予定です。

今年もよろしくお願いします。

11月30日から北海道大学博物館でトガリネズミ展を開催しています

11月30日から12月12日までの予定で、北大博物館でトガリネズミ展が開催されます。

https://www.least-shrew.jp/shrew/wp-content/uploads/2021/12/togarinezumi_2021_ss.pdf

今回は、東海大札幌キャンパスと円山動物園が参加・協力しています。私は今回トウキョウトガリネズミの生体の出展には参加せず、トウキョウトガリネズミに関するポスター展示協力と講演会に参加します。

今年は、トウキョウトガリネズミが出産などがあり、生体を提供する余裕がありませんでしたが、北大の大舘先生が今年はトウキョウトガリネズミの生体を確保されていたので、その個体が展示されます。

これまで、国内におけるこれまでトウキョウトガリネズミの生体展示はすべて私の捕獲個体のみでしたが、新たな展開が始まり喜んでいます。昨年初めて、展示期間中にトウキョウトガリネズミが死亡してしまいました。実は、展示する時期に生存個体を提示用に確保しておくこと自体かなり難しいですし、さらに長い展示期間だと死亡させないようにするのはかなり難しいのです。したがって、私一人では生体展示用の個体を常に用意しておくことは、かなり厳しい状況に追い込まれていたのも事実です。しかし、複数の人が提供できるようになったことは、トウキョウトガリネズミの生態解明にとっても素晴らしいと思っています。

 

 

 

トウキョウトガリネズミの出産、子どもの独立に初めて成功しました!

4ヶ月ほど、HPを全く更新できていませんでしたが、その間に北海道でトウキョウトガリネズミの妊娠個体を捕獲し、出産、子どもの独立まで成功しました。

トウキョウトガリネズミの飼育下における出産から子どもの独立までの状況についての報告は国内初で、多分世界でも初です。

やっと成果がまとまったので、論文にまとめ、多摩動物公園によるプレスリリースするところまで到達しました。論文は学会誌に投稿し現在査読中です。

この4ヶ月の間、YouTubeで、映像作家の六田晴洋さんと「トガリちゅ~部」を開設して、トウキョウトガリネズミの子どもに出会うプロジェクトについて紹介していましたが、予定外に早い出産という自体になり、その対応に追われていたことと、多摩動物公園との共同研究ということもありましたので、成果がある程度まとまるまでは公表を控えていたという状況でした。

プレスリリースは、10月14日(木)に東京都建設局が行い、その内容は東京都建設局と多摩動物公園のHPに載っています。

東京都建設局

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/10/14/19.html

多摩動物公園

https://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&inst=tama&link_num=27057

今後は、HPとYouYube「トガリちゅ~部」と「トガリちゅ~部部員かわはら」チャンネルで、詳しく紹介していきます。

 

ダーウィンが来た!の補足2 外見では雌雄の判断は難しい

乳頭が勃起したトウキョウトガリネズミ

 

おかげ様で、多くの知人の方にも見ていただきました。ありがとうございます。そこで、妊娠個体と間違った個体について、いくつかの質問がありました。

特に、体重が減ったことについて、出産後子供を食べたのではないか、大量の糞をしたのではないかというような質問が多かったです。

まず、番組では触れられていませんが、トガリネズミの雌雄は基本的に外見では区別できません。雌雄が判別できる場合は、乳頭が勃起して授乳状態であるときやペニスがでている時など性的特徴が顕著な時しか判別できません。

あの例外的な体重増加個体は、捕獲時期が妊娠個体が捕れる可能性が高い時期の個体でしたので、期待してしまったのです。巣の中だけではなく、体を確認したら妊娠したときに現れる乳房の張りや乳頭が勃起していなかったので、妊娠していないことが判ったのです。

おかげ様で、ダーウィンが来た!「世界最小のミクロ珍獣北海道で虫とバトル」高視聴率だったそうです!と補足です

昨日放映された ダーウィンが来た!「世界最小のミクロ珍獣北海道で虫とバトル」は、おかげさまで高視聴率だったと関係者の方から教えていただきました。多くの方に見ていただけてうれしいです。                 (その時間帯のトップだったとお聞きしました!!)

そこで、番組では伝えきれなかった内容を少しの間、補足していきたいと思います。番組を見ていただいた方はあのシーンの意味を、見ていなくても興味がある方はこのHPの動画ギャラリーなどを見てさらに興味を持っていただければとおもいます。

番組では、草の上を移動するシーンが普通のような感じで映像で流れていましたが、草の上を移動する行動をすることを発見できなかったら、あのような映像を撮ることは出来ませんでした。

2002年以降トウキョウトガリネズミを確実に捕獲出来る場所を見つけたことから、トウキョウトガリネズミの飼育が可能になりました。2回目に捕獲した時に、どこまで土に潜るのかと考え、捕獲した場所から10cmの深さで10cm×40cm程度の土を切り取り、ケースに入れ、その中にトウキョウトガリネズミを放しました。そこで、土に潜るのかと思いきや、なんと草の上に登ったのです。モグラの仲間なので、地中や物の隙間などの利用が主かと思っていたのですが、何と空間利用する時間が結構長いことも判ってきました。

トウキョウトガリネズミの大きさは、実物を見ていないと相当小さいという認識が十分ではありません。その小ささと行動の速さから、野外では草のなどの影にいれば撮影はできません。しかし、草の上のようなオープンなところを移動することが判ったことから、狙って撮影ができるようになったのです。北海道に生息している他の3種のトガリネズミも草に登ることは最近確認されたのですが。トウキョウトガリネズミは他種と比べると利用量が格段に大きいのです。

地上だけを移動する動物だったら、あの移動の速さから言って今回のような番組は製作できませんでした。

 

トウキョウトガリネズミが、ダーウィンが来た!「世界最小のミクロ珍獣北海道で虫とバトル」に出演しました

2021年5月30日 NHKのダーウィンが来た!「世界最小のミクロ珍獣北海道で虫とバトル」で、トウキョウトガリネズミが取り上げられました。

番組を見た後にこのHPにたどり着かれた方や久々の方は、ホーム画面から、ギャラリー(動画)のタブを選択して動画ライブラリの1~4をご覧ください。トウキョウトガリネズミの概要をまとめた動画をアップしてあります。

下記のギャラリーをクリックしてもいけます。ホームページの都合上トウキョウトガリネズミの生態は、1本の動画を3つに分割しています。トガリネズミとネズミの区別については、2020年10月から12月まで開催された北海道大学博物館の「トガリネズミ展」の期間中に会場の解説用に放映していた動画です。ホームページの都合上音声が着いていません。またパネルの参照という部分がありますが、今回は掲載できませんのでご了承ください。

ダーウィンが来た!とこの動画をみて、トウキョウトガリネズミを初めとするトガリネズミ類に興味を持っていただければ幸いです。

ギャラリー

トウキョウトガリネズミが長時間居るつらそうな場所

散形花序の根元に居る場合もあります。それは、複散形花序の時に比べて、とてもつらそうな体勢になります。飼育ケースに入れる植物にもよりますが、ぶら下がる体勢で、結構長時間いることがあります。そのようなつらい体勢にならなくても良いのにと思うのですが・・・。北海道に生息する他の3種では、ヒメトガリネズミで、複散形花序の根元に収まっていた個体が1頭いましたが、他の種では、このようにぶら下がる体勢でじっとしているところは未だ観察されていません。

散形花序の根元は狭いので、どうしてもぶら下がる体勢になってしまします。
折れた茎の先でも、このようにじっとしていて、寝ていると思われることがあります。
どう見ても楽そうには見えませんが、このような体勢で寝ているような時もあります。
このような体勢だと、無理をしている体勢とは一見見えません。でもよく見ると、小さなオオヨモギの葉の上に乗っているだけの様に見えます。決してそんなに安定している場所では無いような気もします。すべては、体重が極端に軽いからなせる技なのかもしれません。

トウキョウトガリネズミがいる場所 複散形花序と散形花序の違い

写真1 複散形花序の根元にいた跡
写真2 散形花序の上で寝ている状況

 

複散形花序の根元にいる場合、グラスの中にいるみたいにしっかりと体を保持してくれる状態になります(写真1)。これに対し散形花序の上にいる場合は、ただ乗っかっているだけになります(写真2)。

風が吹いて草が揺れていても、複散形花序内に居れば、そう簡単に振り落とされることはないですが、散形花序上は不安定です。また、複散形花序の中にいると天敵から見つかりずらいことが判りますが、散形花序の上は明らかに天敵に見つかりやすいと思われます。

散形花序で寝ているのは、飼育下で、風もなく、天敵もいないと安心しているからかもしれません。

オオアシトガリネズミ 見られていたら恥ずかしい?(仰向けから起き上がる)

人間で、他人に見られていたら、ちょっと恥ずかしいかもしれないシーンです。

オオアシトガリネズミが、飼育ケースの連結部分になっている筒に登ろうとして何回も失敗して落ちているのですが、そのうち完全に仰向けにひっくり返ってしまいました。完全にへそ天状態になってしまい、起き上がるのがちょっと大変だったようです。赤外線で撮影されているため、白黒なのでよく見ないとわかりにくいかもしれませんが、背中は黒く、腹は白く写ります。体全体が白っぽいのが黒くなったら、それは正常な状態に戻れたということです。

わかりましたでしょうか?1回軽く半身状態で腹をみせましたが、すぐに立ち直りました。しかし、その次は完全に仰向けになってしまい、最後は背中で少し雑巾がけみたいな状態になって、元に戻りました。飼育ケースは衣装ケースを利用したものですので、底はそもそも滑りやすく、引っかかりが少ないため、元になかなか戻れなかったのだと思います。