トガリネズミがカメラ撮影が苦手な訳

12月2日まで行っていたトガリネズミ展で、トガリネズミの撮影を禁止にさせてもらっていました。実は、トウキョウトガリネズミやオオアシトガリネズミなどがハンティングなどで出す音(主として周波数帯 5~10kHz)とカメラがピンセットを合わせるために音がほぼ同じなのです。したがって、多くの人に撮影されると大変なストレスをトガリネズミたちに与えることになるからです。トガリネズミが出す音がどのように使われているかは、現在複数の人が研究中で詳細はこれからですが、いずれにしてもカメラの出す音波はとても苦手なことは確かのようです。

トウキョウトガリネズミがコオロギを捕獲する際に出している主な周波数帯 5~10kHz
カメラ(EOS80D)の出す周波数帯5~10kHz

トウキョウトガリネズミが罠に落ちにく理由

トウキョウトガリネズミが、罠に落ちにくいので慎重だと書きましたが、オオアシトガリネズミと比べて罠に落ちにくい理由の一つには、後ろ足の使い方にあると思われます(添付動画)。物の角に後足の指を引っかけて、体を支えることができるからです。

オオアシトガリネズミはそのような行動は見られず、後足は前にしか伸びず、自ら飛び込みでいく感じです。でも、ヒメトガリネズミでもトウキョウトガリネズミと同じように後足の指で物の角に引っかけているのを目撃しました。では、なぜ、トウキョウトガリネズミとヒメトガリネズミの捕獲に差がでるかはこれからの課題です。ちなみに、エゾトガリネズミについてはまだ確認できていません。

 

北大博物館におけるトガリネズミ展が無事終了しました。

北大博物館で10月12日から開催していた「北海道のトガリネズミ」展が、12月2日に、当初より3週間会期を延長して無事終了しました。終了翌日から出張続きでご報告できず失礼しました。

たくさんの方に来ていただきありがとうございました。複数回見に来ていただいた方も結構いたようで、本当にありがとうございました。

無事、国内初、いや世界初の北海道産のトガリネズミ4種の生体展示を終えることができたのも、ひとえに、飼育を担当してくれたボランティアの学生さんたちのおかげです。改めてお礼を申し上げます。ボランティアさんの協力がなければ、到底維持できない展示でした。

見に来ていただいた方々とは、いつかまたどこかで、生きたトガリネズミたちとお会いできることを楽しみしております。それまでは、このサイトをよろしくお願いします。

展示終了後、大舘先生(右)と