オオアシトガリネズミの貯食行動(1)

 現在の季節は初冬ですが、展示している場所は暖房が入っているのでトガリネズミしてみれば夏から秋みたいな気温です。トウキョウトガリネズミもオオアシトガリネズミも冬眠しません。冬季にどのように採餌しているかは、現時点ではよくわかっていませんが、寒くなると飼育下のオオアシトガリネズミには貯食行動と考えられる特徴的な行動が見られます。

 映像は、気温が5度程度が数日続いたある日、新しい餌を与えたらオオアシトガリネズミが、立て続けにゆでたミルワームを草の中に引き込む始めた様子を撮影したものです。2日ほどこのような目立った行動をしていました。1日目は、9gの餌が15分ほどで3gを残すだけになったところで引き込むのをやめました。

 

北大総合博物館に展示中のトウキョウトガリネズミ その1

 北大総合博物館にトガリネズミ達が展示されて、2週間が経過しました。私は、土日の13時頃から2時間程度解説員として参加しています。

多数の方に来ていただきありがとうございます。しかし、かなりの方が、結局トウキョウトガリネズミやオオアシトガリネズミなどの展示個体を見られずに帰られるようです。博物館で働いている方でも、なかなかタイミングが合わずトウキョウトガリネズミを見るに1週間近くかかった方もいたようです。まだ数週間あるので、これから見に行かれる方やもう一度行こうと思っている方の参考になる情報を紹介したいと思います。

必ずトウキョウトガリネズミの姿を見ることができるのは、生きもの係の学生さんが行う12時から13時の間に行われる餌やりの時です。トウキョウトガリネズミは飼育ケースの扉が開くと反応して出てきます。ほとんどの場合、上記の写真に示した穴の開いたキューブの中から出てきます。生きもの係の人が餌を一番上の板の上にミルワームを置くので、そこで食べる様子が見られます。時々、一番上の板の上で佇んでいることもあります。映像は、展示個体のアップです。音に敏感に反応しますので、静かに見てください。

北海道浜中町で多摩動物公園とトウキョウトガリネズミのイベントを開催します。

 2019年12月15日に北海道厚岸郡浜中町霧多布湿原センターで、「浜中町と多摩動物公園を結びトウキョウトガリネズミー小さな生きものが結ぶ縁ー」講演会を開催します。また、12月4日から1月1日までパネル展も同時開催します。

                     かつてトウキョウトガリネズミは、偶然でしか捕獲できないと言われていましたが、私が浜中町でトウキョウトガリネズミを捕獲できる場所を発見したことをきっかけに、浜中町と多摩動物公園とで、本種の生息地の保全と本種の生態を解明するために、パートナーシップを締結してもらい12年が経ちました。現在本種が常時展示されているのは世界でも多摩動物公園だけです。浜中町のトウキョウトガリネズミが、多摩動物公園でどのような生活をしているのか、またどこまで生態が解ってきたのかを紹介します。当日は、現在私が北海道で飼育しているトウキョウトガリネズミの生体も展示する予定です(生き物なので確約はできませんが)。ぜひ、世界最小級の哺乳類を見にお越しください。

浜中町と多摩動物公園を結ぶトウキョウトガリネズミ             ー小さな生きものが結ぶ縁ー

 場 所 北海道厚岸郡浜中町四番沢 霧多布湿原センター 

  • 講演会 12月15日(日)14:00から16:00 
  • 入場無料、予約不要、定員50名 
  • パネル展 12月4日~1月1日
  • 開館時間 9:00~17:00(休館日 火曜日)

 

本日展示の準備をしました

展示状況1 本日、北大総合博物館は休館日でしたが、トガリネズミ展の準備を飼育支援員としてトガリネズミの世話してくれる北大の学生さん達と一緒に行いました。

 展示期間中、飼育支援員が、トガリネズミの日々の様子やごはんタイムなどの情報をTwitterで発信していますので、そちらも見てください。詳しくは下記をご覧ください。https://www.museum.hokudai.ac.jp/display/special/15611/

 展示されている生体は、トウキョウトガリネズミ、オオアシトガリネズミ、エゾカアカネズミ、エゾヤチネズミの4種です。今回は、大舘先生が来年の干支であるネズミと異なる点にこだわって解説を作成されましたので、それも見どころです。大舘先生は、ウイークデーを中心に、私は土日を中心に昼から1~2時間程度解説員として参加する予定です。

 今回の展示では、昨年まで流していたトウキョウトガリネズミの映像をリニューアルしました。留学生の飼育支援員が、前足を動かす仕草を気に入ってくれたみたいです。

 

トガリネズミ展を11月12日から北大総合博物館で開催します

 11月12日(火)から北海道大学総合博物館1階 北極域研究センター展示室でトガリネズミ展を開催することになりました。私が捕獲した生きたトウキョウトガリネズミ(♂)も展示しますので、興味のある方は是非見に来てください。

 生きたトウキョウトガリネズミを北大総合博物館で展示するのは今回で3年連続となりました。一昨年はとにかく生きたトウキョウトガリネズミを多くの人に見てもらうことを、去年は北海道に生息するトガリネズミ属全4種を見てもらうことを(国内で初の試み)、今回は来年がネズミ年ということもあり、トガリネズミとネズミが大きく違うことを知ってもらうことを目的として急遽開催することになりました。

 今回も北海道大学低温科学研究所の大舘智志先生の要請を受けて協力させてもらっています。これから、開催期間中見どころを随時紹介していきますのでよろしくお願いします。

 生きたトウキョウトガリネズミを一般の方が見ることができるのは、現時点では世界でも東京の多摩動物公園(通年)と北大博物館(12月15日までの予定)の2カ所しかありません。この機会に世界最小級の哺乳類を大きさを体感してください。

 

 小さなちいさな哺乳類 トガリネズミ展

ー私たちはけっして「鼠」の仲間ではありませんー

 開催期間 2019年11月12日(火)~12月15日(日)

 場所   北海道大学総合博物館1階 北極域研究センター展示室

 開館時間 10:00~17:00 月曜休館(祝日の場合は翌日休暇)

 入場無料 

 

今シーズンは、気合いを入れて少し頑張りました

 10月の捕獲調査で、一応今シーズンの捕獲調査は終了です。長年研究をしてきたのですが、これまで繁殖生態(特に出産を確認できない)を明らかにすることができませんでした。このままではダメだと思い、今年はこれまで解明できない大きな要因と考えられる捕獲調査回数を増やすことと、飼育環境をより自然状態に近づけることを目標に4月~10月末まで捕獲調査と飼育環境の整備を行ってきました。

 今年は、7回捕獲調査を行いました。過去最高の調査回数でしたが(年1~2回が普通で、過去最高は年5回)、トウキョウトガリネズミが1頭も捕獲できなかった調査が3回、内2回は他のトガリネズミも捕獲できませんでした。今回は、複数の調査地(これまでの実績からは毎回捕獲できる場所でしたが・・・)で行ったこともありますが、こんなに捕獲できなかった年は初めてでした。

 また、これまでは書斎及びベランダで飼育していたのですが、色々な支障が生じ、また飼育観察方法に限界を感じていたので、小さな飼育小屋を庭に建てました。小屋は、建設会社に依頼しました。ただ、窓はありますが、外壁は合板を打ち付けてだけで、もちろん断熱材も内壁も無しです。室内の棚などは自分で作りました。冬季はほぼ外気と同じくらいになる予定です。

 努力した割には色々な障害との戦いで、成果があまりなかったのですが、しかし、今回初めてということもありましたので、これから紹介していきたいと思います。