生体展示の場合、撮影禁止とお願いしている理由

北大博物館の展示で、トガリネズミの撮影をしないようにお願いしています。それは、カメラの出す超音波がトガリネズミに強いストレスを与えるからです。超音波を当てますと、逃げたり、隠れたり、固まって動かなくなったりします。

これまで、多摩動物公園、札幌市円山動物園、霧多布湿原センター、北大博物館で展示された生きたトウキョウトガリネズミの個体は、すべて私が捕獲して提供したものです。これらの経験から、多摩動物公園以外で展示された個体は、展示されなかった個体と比較して、寿命が短いという傾向を示しています。(多摩動物公園では、色々と配慮されています。それについては、改めて・・・)

ストレスの原因は複数ありますが、展示して一番加わるストレスは、はやり撮影と考えられます。現在は、飼育小屋で飼育していますが、以前は自分の書斎で飼育していましたので、生活騒音の中で飼育していました。それに比べても、短命傾向を示すのです。一番違うのは、撮影される頻度です。細かいことを言うと、撮影するカメラの機種、ガラスを通すと超音波の強さが変わるとか色々ありますが、今は誰でもまず撮影から・・と言っても過言ではないこのご時世です。その頻度は、私が撮影する頻度とは比べようもないほどの大きな差があります。

見学者の多くは、とにかく写真を撮ることから始まります。さらに、中には撮影を始めると我を忘れて更に良い写真を撮りたいと居座る人もでてきます。常に監視者がついている訳ではなく、収拾がつかないので一律禁止にさせてもらっています。ご理解とご協力をお願いします。

私も以前は、オートフォーカスを使用して撮影していました。その時は、30分以上の撮影はやめていました。今は、基本的にはピント合わせはマニュアルにして、オートフォーカスを使用していません。動きが速いので、マニュアルでピントを合わせることは実質不可能に近いです。したがって、観察して映像として残したいと思う場面が判れば、そこにピントを合わせて待っています。実は、マニュアルにしてからの方が、トウキョウトガリネズミの動きの細かい部分まで見えてきた気がします。ピンボケ写真の枚数が相当増加しましたが、ピントが合った時は予測が的中したことを示しているので、以前よりも1枚1枚に対する価値が異なってきたような気がしています。

ハマナスの実にのるトウキョウトガリネズミ

ハマナスの実に乗る、トウキョウトガリネズミ

 今年のトウキョウトガリネズミの展示用の飼育ケースには、流木を追加しました。トウキョウトガリネズミは、流木の割れ目が好きらしく、その中に入ってじ~っとしていたり、餌のミルワームを挟み込んだりしています。

 今年の調査で、トウキョウトガリネズミが、トゲのあるハマナスを、トゲの無い植物と同じように上り下りし、休息場所として想像以上に利用していることが判りました。トウキョウトガリネズミにとっては、ハマナスのトゲは小さな枝見たいなもののようです。また、ハマナスの実は食べませんが、ハマナスの実の上には乗ったりします。

 ハマナスの実に乗っているというのは、中くらいのプチトマトにトウキョウトガリネズミを乗せている感じです。

 展示前に、展示用の飼育ケースにハマナスを入れて馴らしていましたが、掃除の時にトゲが刺さり、作業がしにくいことが判ったので昨年と同様の草本にしました。トガリネズミの世話は、北大生の方々にボランティアで行ってもらっています。その方々に、痛い目に遭わせるのは申し分けないので・・・。特に油断している時に刺さると、余計に結構痛いです(>_<)

 

 

今日からトガリネズミ展開始されました。

 今日から北大博物館で、トガリネズミ展が開始されました。私は、昨日の展示最終準備に参加できなかったので、本日昼休みを利用して見に行ってきました。

 日曜日に搬入したトウキョウトガリネズミは、元気にギャラリーの前に出てきていました。無事、新しい飼育ケースにも馴れたようで安心しました。

 展示会場の入り口すぐの左手(モニターの前)に、ジャコウネズミが白いケースの中に展示されています。解説員が居ないと開けてもらえないので、わかりにくいですが、北海道産のトガリネズミとは大きさが全く違うので、中で動くとはっきり判ります。トウキョウトガリネズミからすると柴犬とヒグマくらい体格差があるように感じます(正確な比率ではなく、あくまで個人的な印象です)。

 昨年までは、解説員として原則土日に会場に行っていましたが、新型コロナウィルス対策の件も考慮し、また北海道では現在感染拡大傾向にあるので、土日のどちらかだけにする予定です。その代わりに、トガリネズミとネズミについての解説とトウキョウトガリネズミとオオアシトガリネズミに比較の映像作成して、モニターに流していますので、そちらを参考にしてください。時間は、解説編は約7分、比較映像は約3分です。

 現在の状況では、なかなか見に行けないかもしれませんので、展示内容の紹介や展示会場では見られないようなものも、これから期間中随時紹介していきたいと思います。

入り口の状況
展示の状況、入り口正面奥のガラスケースにトウキョウトガリネズミ、入り口すぐの左側の白いケースの中にジャコウネズミが展示されています。

今年も北大博物館でトガリネズミ展を開催します。

 

 長い間HP更新が滞っていましたが、再開します。新型コロナウィルス感染拡大の影響で、移動制限もあり野外調査にも影響がありましたが、単独でかつ調査先でも極力人と接しないようにして今年の現地調査も終了しました。今年の調査でも、新しい発見がありましたのでこれから順次紹介していきたいと思います。

 まずは、今年も北大博物館でトガリネズミ展を10月27日~12月20日まで行うことになりました。今年も私が飼育しているトウキョウトガリネズミの個体を出展します。機会があれば、見に来てください。今年は、北海道に生息している4種のトガリネズミだけではなく、北大低温研究所の大舘先生が海外から導入したジャコウネズミも展示されます。キャラバンと言って、子供が尾を加えて珠々つなぎなって移動する光景で知られている種です。これが見られたらとてもラッキーです。展示状況は、トガリネズミの世話をしてくれる学生さんが北大博物館のHPにアップしてくれますので、こちらをチェックしてください。

 今回は、新型コロナウィルスの影響で見に行けない方の多いと思いますので、これまで展示会場で私が解説していた内容などを開催期間中は随時アップしていきますので、見ていただければと思います。展示予定のトウキョウトガリネズミはすでに、展示用の飼育ケースに入れ、順応させています。今、展示会場で流す映像を鋭意作成中です。

次の更新は、開催日の27日の予定です。

10月27日の展示に向けて、新居にならしています。