私は、2002年にトウキョウトガリネズミを同一地点で捕獲できる場所を偶然発見した。これまで同じ地点で再捕獲されたことがなかったことから、私はトウキョウトガリネズミの研究を始めることにした。
トウキョウトガリネズミは、1903年に発見されてから2001年までの98年間には46頭しか捕獲されておらず、生きて捕獲した記録があるのは1件のみで、同じ地点で再捕獲されたことはなかった。2002年から2017年までの15年間で、私たちのチームが捕獲したトウキョウトガリネズミは160個体を超え、約92%の個体を生きて捕獲し、私が直接飼育した個体数は40個体を超えた。
観察していると、彼らは喧嘩もするし、個体によって臆病だったり、大胆だったり、糞場にもこだわりがあり、食べ物の好き嫌いもある。そう、彼らは様々な個性をもった我々と同じ生きものだと実感できる。しかし、これまでに本種に関する一般的な情報は、体が小さいからという理由で、その多くは憶測で語られた内容が広まっていて、トウキョウトガリネズミを語るにはあまりにも残念である。よって、見たこと、判ったことを紹介していきたいと思う。
私はまだ彼らの子供を見ていない。あの小さな体から生まれてくる子は、どうなっているのかとても興味がある。いつになるかはわからないが、このサイトを維持している間にみなさんに紹介したいと願っている。
注)捕獲及び飼育には関係機関の許可を得て行っています。また、捕獲した個体の多数は放獣しており、飼育した個体は一部です。