やっとトウキョウトガリネズミのあくびのスロー映像が撮れました。飼育しているとあくびをたまに見ることがありますが、撮影するとなるとなかなか撮れないものです。
そもそもあくびは、哺乳類だけではなく爬虫類や鳥類でも起こることが知られています。人間があくびする時は、眠たいとき、疲れているとき、退屈なとき、極度の緊張状態のとき、寝起きに起こるとされています。その理由は、酸欠になっているからとか、脳の温度を下げるためとか言われていますが、解明されたとはまでは言えない状況にあります。
トウキョウトガリネズミに関しては、寝起きやじっと同じ体勢でいて、活発に活動をし始めるときに見られます。脳の温度を下げるという理由の一つとして、人間は体温より高い環境ではあくびをしないことがあげられています。しかし、トウキョウトガリネズミは、そもそも基本的に自分の体温より高い気温なる環境に生息していませんし、25℃を超えると口でハアハアと息をする状況もみられ、35℃を超えると死んでしまうこともあるので、そう簡単に同じ状況とは思えません(注1)。今回の映像は気温0℃から5℃の間で、寝ていた後にあくびをしたことから考えると、脳の温度を下げるほど温度が上がっていたのかが疑問になるところです。体が小さくて、寒いところに生息していることから基礎代謝量を高い状態で維持する必要があることを考えると、そう簡単に脳の温度を下げるような状況を体内に作り出すのは、戦略的に不利な印象を受けます。そもそもあくびの理由が、すべて種で同じなのかも検証されていないので、全く別の理由があるのかもしれません。
とにかく、あくびをみるとホットします。なぜなら、あくびを見るときは今のところ常に寝起きの状況なので、緊張状態とは思えないからです。それは、飼育下でも少しでもストレスが少ない状態であって欲しいという私の勝手な思いかもしれませんが・・。
明けましておめでとうございます。
森町に住む小林と言います。
元旦に神社のお参りに行ったら道端に小さなネズミの死体を発見して保存してあります、口が長く普通のネズミとはちょと違うとおもいもしかしてとがりネズミではと思っています。
小林さん
コメントありがとうございます。
トガリネズミとネズミの区別については、良く問い合わせがきます。詳しくは、次のブログで書きますので参考にしてください。一度覚えると姿形からトガリネズミとネズミの区別は簡単につくようになりますが、一番確実なのは、前足の指の本数が5本ならトガリネズミ類、4本ならネズミ類(親指が退化している)ということで区別できます。
はじめまして。
ウチは北海道の田舎です。
去年、ちっちゃなフンが家に見つかって、ねずみ取りの粘着シートをおいていたら、ほぼ毎日捕まって、10匹位。
今年はガレージに出ます。
エドトガリネズミだと思うんです。
私は野生動物が怖いので捕獲して処分しちゃうんですが…やめた方がいいんでしょうか?大事な生き物なんですか?
鈴木様
捕獲調査に行っており、返信が遅くなりすみません。
トガリネズミ類は昆虫やクモなどを食べているので、昆虫類の個体数を異常に増やさないという生態系での役割を持っています。
野ねずみ類と比べると人間に直接の被害を与えることはなく、目立ちませんがむしろ益獣に分類されても良いと思います。
オオアシトガリネズミはミミズを好んで食べます。オオアシトガリネズミがいるところにはミミズが多いので、それは土が豊かであるという一つの指標になります。捕獲されたのはエゾトガリネズミのようですが、オオアシトガリネズミほどミミズは好みませんが、トガリネズミ類が生息しているということは、生物相が豊かという一つの指標になります。
実害がなければ、できるだけそっとして共存することが大切だと思います。
野生動物はとても大切です。なぜなら、この地球で人間しかいなくなったら、人間は生きていけないからです。
野生動物は怖いと思われているようですが、野生動物に関してもっと興味をもって、色々と知ってもらうとそんなに怖いものではないことが判ります。また、意外と実害がなく、身近に居てくれたほうが良いということも理解していただけると思います。
実害があれば対処するというのは当然必要ですが、身近にいるといことだけで、殺すことはやめた方が良いです。今私達と同じ時間に生きている個々の生物はそれぞれ役割を担っており、互いに助け合って生存しているからです。そのバランスが壊れると最終的には人間も生存できなくなる可能性が出てきます。この世界に、無駄な生き物はいません。人間同士も互いを尊重するように、他の生き物とも互いに尊重して共存していくとことが大切だと思います。
まず一端、捕獲をやめてみてください。そして、どのような実害があったかを確認した上で対処方法を検討されてはいかがでしょうか?実害をもたらさない生き物まで捕殺する必要はないと思います。実害があったら、まだご連絡ください。個別に対処方法をご紹介します。