最近、なぜハマナスの写真や動画が多くなったのか、不思議に思っている方もいるかと思います。
2018年以前は、ハマナスが生育しているところでトウキョウトガリネズミが捕獲されたことはありませんでした。また、2019年に最初にトウキョウトガリネズミがハマナスに登った時は、捕獲した個体を放獣した時で、一番近いところにハマナスしか無かったので偶然ではないかと思いました。メインのページに載せている写真がそれです。その後飼育下や野外での観察では、ハマナスの選好性の有無を判断できるまでのデータはそろっていませんが、他の植物と区別なく登っているように見受けられます。
トゲが捕食者から身を守ってくれますから、ハマナスを積極的に利用するとも考えられますが、実は、登ってじっとしているところはトゲが無いところなのです。ハマナスが群生していれば、確かにキツネなどからは身を守りやすいかもしれませんが、上空からはトゲが無いので他の植物の上にいるのと大して変わりません。また、キツネの歩きかたを観察していますと、トウキョウトガリネズミが草の上にいる位置は意外とは死角になっているような気がします(詳しくは別の時に書きます)。我々人間に取っては、ハマナスのトゲは障害物と思いますが、トウキョウトガリネズミに取っては、障害物とか身を守るものとは捉えていないようにも思えます。
ハマナスは木本類ですので、草本類よりも茎や枝が太くしっかりしており、葉も大きく密集していますから、隠れたりするには草本類よりも状況が安定しているため、積極的に利用しているとも考えられます。人間目線だけで判断してしまいますと、トゲがトウキョウトガリネズミの身を守ってくれますから、積極的に利用しているのだという単純な理解になってしまいますが、それだけでは無いような気がします。