コシジロウミツバメは、鳴き声も特徴的ですが、独特の臭いが強いですので、臭いでその存在がわかります。自分でいうのもなんなのですが、おじさん臭いというのか、乾いた雑巾にみたいな、なんとも言えない臭いです。決して良いにおいではありません。
巣穴の近くを歩いただけも、利用されている巣穴かどうかも、臭いで判るくらい強い独特な臭いです。鳴き声は夜間のみで、日中洋上で餌を食べてきたパートナーが、間違えずに巣に戻って来れるように鳴き交わして場所を知らせます。日中は、全く鳴きません。
トウキョウトガリネズミの捕獲地の周辺にはコシジロウミツバメの巣穴がありますので、当然コシジロウミツバメの巣穴からも少し離れたテント設営地周辺も着陸地点になります。夜間はテントの明かりで幻惑されるのか、時々テントにぶつかってくる輩や着地後歩いていると目の前に立ちはだかるテントを迂回せず強行突破をはかろうとする輩がでてきます。そのような輩は、大概テントとフライシートの間に入って出られなくなって、もがくことになります。このような方々には、丁重に迂回していただくよう誘導して、退去していただきます。本来、我々はそこに居るはずはありませんので、大変申し訳なく思っていますが、たまにテント内で大暴れする輩には少し、我を忘れます。
嶮暮帰島は無人島なので、キャンプをします。調査は、3人で行うことが多いです。よって、テントサイトは、作業用の共同テントと寝るための個人テントで構成されます。最近は、私一人で嶮暮帰島に調査行く事も多く、一人でテントが設営でき、作業場も確保できるインナーテントが2つ吊せるデカトロンのケシュアというファミリーテントを使用しています(20120年に廃盤になったモデルです)。嶮暮帰島は風が頻繁に吹いており、強風が結構多い場所です。したがって、作業場を確保できるような4~6人用のファミリーテントを一人で立てることは、結構困難です。しかし、一人で設営でき、かつ作業場が十分確保できるのが、このデカトロンのテントです。しかし、これが時々悲劇を生みます。このテントには、裾にスカートがついていませんので、地面との間に隙間があり、コシジロウミツバメが容易に侵入してくるのです。テントにコシジロウミツバメが首を突っ込んだ瞬間にコシジロウミツバメの臭いでテントが充満します。自らテント外にすぐ出て行ってもらっても、一晩はコシジロウミツバメの臭いにたえながら、過ごすことになります。1回、インナーテントを閉め忘れて、罠の見回りに行っている間に侵入されました。テントあけた瞬間、あの強烈な臭いです。まずいと思い作業場を探したが居ません。自主的に退去してくれたのか?と思った瞬間。寝袋や着替えの上で動く物が・・・。手遅れでした。低調に退出をお願いしましたが、暴れまくり、調査が終了するまでコシジロウミツバメの臭い中で生活することになりました。